インナーマッスルとは?その筋肉のトレーニング方法とダイエットの関係って?
今回もプロ格闘家や個人の方向けのフィットネス指導、スポーツメーカーへのトレーニングプログラムの提供をしているCORE N’CODE(コアアンドコード)さんにインナーマッスルを使った筋トレの解説をお願いします!
皆さん、こんにちは。今回から3回に渡ってインナーマッスルに関する記事を掲載します。
今回まず、インナーマッスルについて少し記載しようと思います。
インナーマッスルとは?
何回か前の記事で、腰痛を改善する為に体幹のインナーマッスルを作り上げるというお話をしました。
でもインナーマッスルって一体何でしょうか?
スポーツ科学の教科書にも、解剖学の事典にもインナーマッスルと言った記載は皆無です。
最近では深層筋なんて呼ばれる事もあったりして、調べれば調べるほどブラックホールに吸い込まれて行くのではないでしょうか(笑)?!
解り易く説明する為に、インナーマッスルについて、ちょっと変わった視点から順番に考えて、理解していきましょう。
インナーマッスルを理解するために
1:アメリカの検索サイトや文献ではインナーマッスルは「見た目」?!
日本の検索サイトで「インナーマッスル」を検索すると、非常に多くのサイトが出てきて、超重要な筋肉群として認識され、中にはインナーマッスル専門の情報サイトまで見つかります。
では、アメリカの検索サイトYahoo.comでそのまま「inner muscle」と検索するとどうなるでしょうか?
実際に検索してみると、inner core muscle, inner thigh muscle, inner calf muscleと言うように身体の部位が間に入って検索結果が出てきます。
しかも、この場合のinnerは、上記core以外は「内側の」という意味を指しており、「inner thighを腿の内側」、「inner calfをふくらはぎの内側」と解釈しているようです。
例として以下のサイトを挙げます。
https://www.shape.com/fitness/workouts/best-inner-thigh-exercises-all-time
どうしたら腿やふくらはぎを形作る(シェイプ)か?他のサイトでも、どのようにして腿やふくらはぎの筋肉を付けるか?という「見た目」にフォーカスされています。
『なにっ、インナー(inner)は見た目なのか?!うーん、面白い!!』
2:インナーではなく「ディープ」!!
また、アメリカではinnerではなくdeep muscleが日本で言うインナーマッスルと同等の意味で使われています。
1.と同様に検索サイトYahoo.comでそのまま「deep muscle」と検索すると、The Deep Muscles of the Back – Human Anatomyがトップに出てきて、こちらのアドレスに繋がります。
ちなみに、少しこのページを読んでいくと「The deep or intrinsic muscles of the back 」と記載があり、インナーマッスルを「背中の深層筋もしくは内在筋」という解釈をしています。
また、これらの筋肉郡の重要性も日本のように「インナーだ!!(ディープだ)、インナーだ!!(ディープだ)」とブーム化しておりませんが、重要であることは間違いないでしょう。
ただ、私自身文献で見る事が多く、「インナー」という筋肉群に対して、日本のように特別視していない感じです。
アウターとインナー同等に大切だと思います。
3:インナーマッスルの定義って何?!
上記の文章を読むと、「インナーマッスルの定義って何?」となりませんか?
まず、確実に100%言える事は、位置による定義だと言えます。
表層にあるのがアウターであるのに対して、深層にあるのがインナーマッスル。
また、体幹を安定させたり、関節を安定させたり、いわゆるスタビリティー(安定性)の役割をメインで担うのがインナーマッスル。
さらには、ローテーターカフと言われるインナーマッスルは上腕骨と肩甲骨を自在に繋いで安定させ、上腕の内旋・外旋と言ったモビリティー(可動性)の役割さえ担う事ができるという、まさにハイブリッドな筋肉群です。
ですから、インナーマッスルはスタビリティーだけの筋肉郡ではない事も定義のひとつでしょう。
もう少しインナーマッスルのことをマニアックに説明すると、体幹のインナーマッスルに関した研究で、上肢を動かす0.03秒前、下肢を動かす0.11秒前に無意識のうちに体幹が安定されると言うデータがあります。インナーマッスルによって、しっかりと安定できるから、アウターマッスルが大きな筋出力を発揮できるのです。
インナーマッスルがサッカーなど競技において、「パフォーマンスのキー」になる理由がここにあります。
インナーマッスルを使ったトレーニング方法とダイエットの関係
前提条件として、そもそも筋肉は個別に働くものではなく、お互いの筋肉が付着し合い筋膜に覆われていて、協働して機能するものです。つまり、インナーマッスルが働けば、アウターマッスルも働く。
ただ、インナーマッスルの稼働率を高めるトレーニング方法はあると思います。
インナーマッスルをトレーニングする事でダイエットができるのか?
答えはYesでもあり、Noでもあります。何ともすっきりしない答えですね〜。
<Yesの理由>
・インナーマッスルをトレーニングして、姿勢が整うことで、結果として全身の筋肉をバランス良く使うようになる。
インナーマッスルをトレーニングして、呼吸が深くなることや内蔵の働きが良くなり、体調が整うことで、結果として基礎代謝が増える。
<Noの理由>
ダイエットの基本原則は簡単に書くなら、「食べた量<エネルギー消費量」だからです。そのエネルギー消費量は基礎代謝量約60%、食事誘発性熱産生約10%、身体活動量約30%です。
そして自分が容易にコントロールできるものは身体活動量です。
この身体活動量は有酸素運動だろうが、筋トレだろうが、ウォーキングだろうが、ヨガだろうが、インナーマッスルだろうが、「身体を動かす量が増えれば増えるほど何でも」ダイエットになるからです。
上記より、インナーマッスルを使ったトレーニング方法とダイエットの関係の結論として、直接ダイエットになるという事でなく、「結果として」ダイエットに繋がると言った方が正確でしょう!!
それでは、インナーマッスルを上手に使ってダイエットできるトレーニングを3つ紹介します。
インナーマッスルの稼働数をなるべく増やし、今回はお腹周りをスッキリとさせることに焦点を当ててみました。
インナーマッスルを使ったトレーニング方法
それでは、男性でも女性でも、そして初心者でも高齢者でも簡単に行なえるインナーマッスルが主役のトレーニングを3つ紹介します。「結果として」ダイエットにつながるように頑張りましょう!!
1:お腹にフォーカスしたワークアウト
これは、高齢者や初心者にも簡単に行なえてお腹(腹横筋)を集中して鍛えられるインナーマッスルのトレーニング方法です。ぽっこりお腹が変化することを楽しみに、手軽に行なってみましょう。
<手順1>
柔らかいものを床に敷いて、仙骨(お尻の上部)辺りに小さめの柔らかいバランスボールを置いて、仰向けになります。バランスボールが無い場合は少し弾力のあるクッションでも良いかもしれません。
<手順2>
両腕は身体の脇に置いて、身体のバランスを上手に保ち、両脚の股関節と膝を約90°に屈曲したポジションからスタートします。
息をゆっくりと吐きながらドローインを行なって、肩が床から離れないようにします。
<手順3>
ドローインを保ったまま、小さな可動域で両脚を揺らす感じで股関節の屈曲・伸展を繰り返します。
この可動域は腹筋が緩むようだと大き過ぎますので、本当に揺らす程度で良いです。バランスボールを置くことで、股関節の動きに対してボールの空気圧が変化し、腰椎が持ち上がってしまう事を防止してくれて、腹横筋を円滑に動作させる事が可能となります。
◆回数とセット数
初心者・高齢者のように筋力がない方は、最初は1分間継続できるようにしましょう。男女関係なく慣れてきたら、回数でなく、例えば好きなミュージックをかけながら、その音楽が終わるまで延々と行ないます。
◆インナーマッスルターゲット
腹横筋・腹斜筋など
◆注意事項
バランスボールを置くことで腰痛予防にも効果がありますが、腰痛がある方は、無理しないようにしましょう。
2:肩周りと上背部にフォーカスしたワークアウト
肩と上背部のインナーマッスルを鍛えて、猫背を防いで肩を正常な位置に維持し、呼吸を深めて基礎代謝を高めましょう。
<手順1>
椅子やバランスポールを使って座位になります。
ゴムチューブやセラバンド等があれば便利ですが、初心者や高齢者であれば、
何も持たないで行なえるトレーニングです。
<手順2>
肩を痛めないように肩甲帯に沿って肩甲骨内転し、肩関節水平伸展位、肘関節屈曲位になります。
<手順3>
肘の角度を90°に維持したまま、肩関節をゆっくりと外旋させていきます。
元の位置にゆっくりと戻していき、元の位置に戻ったら、次は肩甲骨を脊柱に
近づけるように内転させていきます。そして、また元の位置に戻していきます。
以下は後ろからの図です。
◆回数とセット数
初心者・高齢者のように筋力がない方は、最初はゆっくりと10回位を2〜3セットをできるようにしましょう。男女関係なく慣れてきたら、ゴムチューブやセラバンドを使って負荷をかけて、10回位を2〜3セット行ないましょう。
◆インナーマッスルターゲット
棘上筋・棘下筋・小円筋・菱形筋など
◆注意事項
肩のインピージメント症候群など傷害のある方は、痛みが強く感じない範囲で行ないましょう。
3:お腹と背中にフォーカスしたワークアウト
このトレーニングは少し難しいかもしれません。初心者や高齢者の方でも身体の角度で調整できますので、体幹の前・後面のインナーマッスルを一緒に鍛えてみましょう。
<手順1>
硬い床でしたらヨガマットなどを敷いて、股関節屈曲・膝伸展位、座位になります。肩関節屈曲、肘関節伸展、腹部をドローインした所からスタートです。
<手順2>
ドローインしたまま骨盤を後傾させて仙骨の辺り(お尻の上部)が床に接地した身体が斜めの状態を維持します。
この時にドローインした腹部が膨らんでしまうようでしたら、傾斜角度を浅くして、ドローインを維持できるように調整しましょう。
<手順3>
この姿勢を維持しながら、伸展位で前に出ている両腕を小刻みに振って、体幹に振動を伝えます。
身体が斜めになる事で、上手に重力を利用して背中の多裂筋にも働きかけてくれます。
◆回数とセット数
初心者・高齢者のように筋力がない方は、最初は自分が継続できる時間だけを2〜3セット行ないましょう。男女関係なく慣れてきたら、回数でなく、例えば好きなミュージックをかけながら、その音楽が終わるまで延々と行ないます。
◆インナーマッスルターゲット
腹横筋・腹斜筋・多裂筋・骨盤底筋群など
◆注意事項
腰痛がある方は、無理しないようにしましょう。椎間板ヘルニアの方は禁忌です。
どうでしたか?
皆さんのインナーマッスルについての知識に少しはお役に立てましたでしょうか?!
また次回もお楽しみに!!
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