腱鞘炎と腱炎を緩和予防するストレッチ方法
腱鞘炎は慢性的になりがち。同じ動作や体勢を長く続けるような仕事や運動をしていると、骨と筋肉を繋ぐ役割をしている腱に負担がかかって炎症を起こす現象を腱鞘炎といいますが、皆さんは腱鞘炎に悩まされたことはありませんか? マラソンをしている方はアキレス腱や膝の腱、パソコンの仕事が多い方は手首の腱が炎症を感じた事がある方もいるのでは?
まずは腱鞘炎について少しお話しさせて頂き、その予防や改善方法をお伝えします。
腱鞘炎と腱炎の違いとは?
腱鞘炎というのは、腱を包む腱鞘という腱を覆っている膜のようなものと、腱が擦れて起きる炎症の事といいます。特に手首や指をよく使うパソコンやピアノを長時間に渡ってしている方は、手首の腱鞘炎にとてもなりやすいです。
※上図は、親指の筋肉に起こる腱鞘炎(ドケルバン病(デェクエルヴァン氏病))の炎症が起こるメカニズムです。腱鞘が炎症するメカニズムとして例示しました。
それに対して腱炎は、腱鞘という膜ではなく、腱そのものが炎症を起こします。テニスエルボー、アキレス腱炎などが一般的に知られている腱炎です。断続的に強い負荷を与えたりすることで腱が傷ついていくとその小さな損傷箇所が腱炎として症状に現れるのです。
どちらも似ていますが炎症を起こす場所がちょっと違うのが特徴です。そして両方共“使いすぎ”が共通点です。そこで、腱炎や腱鞘炎を予防したり緩和させる必要があるわけです。これは、日々のメンテナンスと筋力トレーニングで改善・緩和をさせる事が出来ます。
その方法の一つがストレッチです。これはストレッチそのものが損傷箇所を良くするのではなく、腱鞘炎や腱炎によって現象してしまった関節の可動域(動く範囲)を取り戻すことによって、正常な動きを促して関節などに余計な負担をかけないようにする目的があります。
また、ストレッチによって血行がよくなりますので、その点では炎症を起こした腱鞘や腱の周りに栄養を運ぶことが出来、回復が早まるというわけです。
※時には痛くても我慢して痛い関節を動かさないと治らない場合があります。これは専門家の方でないと判断がつきにくいので、本当に痛みが酷い方はどのタイミングでストレッチを取り入れていくのかをトレーナーや理学療法士の方に相談してみることをオススメします。
今回はそんな皆さんに腱鞘炎の緩和、もしくは今後腱鞘炎にならないように予防するためのストレッチ方法を今回は手首とアキレス腱のストレッチを例に出してご紹介したいと思います。
手首の腱鞘炎を予防・緩和するストレッチ方法
まずはパソコン仕事や手作業の多い方がなりがちな手首の腱鞘炎を予防・緩和するストレッチ方法をご紹介します。
1)手首の屈筋群のストレッチ
以下のように手首を曲げる筋肉たちを伸ばしていきましょう。
でもそれだけではありません。実は指も伸ばすことが大事なんです。しっかりと指を一本一本伸ばしていきましょう。
2)手首の伸筋群のストレッチ
今度は手首を伸ばす筋肉をストレッチするようにしましょう。
以下の写真のように手首を曲げて、しばらくホールドしましょう。
さらに、先程も指までストレッチしたように今回も指までしっかり曲げましょう。
3)手首回しストレッチ
最後に仕上げとして、手首を大きく回して様々な角度をストレッチさせます。
腕を横に伸ばして拳を握りしめます。拳を握ったまま、手首を360°ぐるっと回していきましょう。
方向によって固いところや伸びる部分があれば念入りに行なってください。
一連の動きをまとめると以下のような動作になります。
アキレス腱の腱鞘炎を予防・緩和するストレッチ方法
次にアキレス腱炎の予防と緩和のためのストレッチです。
1)腓腹筋ストレッチ
まずはふくらはぎの上部をストレッチしましょう。膝をしっかりと伸ばしたまま、踵は地面につけて足首を曲げ、ふくらはぎをストレッチします。
2)ヒラメ筋ストレッチ
ヒラメ筋をストレッチします。先程と違うのは、今度は膝を曲げてストレッチをすることです。踵を地面につけたまましっかりとふくらはぎをストレッチしましょう。
3)ふくらはぎの筋トレ
階段などの段差に足先をかけて、ふくらはぎを出来るだけ伸ばした状態から、踵を上げてふくらはぎを収縮させます。必ずストレッチを感じてから踵を上げましょう。
筋トレメニュー:ふくらはぎの筋トレ方法
腱鞘炎と腱炎を緩和予防するストレッチ方法のまとめ
- 周辺の筋肉を大きく動かす
- 周辺の筋肉を鍛える
の二点です。
痛みが出てしまうとその部位をかばって自然と自分の普段通りの動きができなくなってしまいます。すると自然に変な動作の癖がついていき、その変な動作がまた関節に負担をかけるという悪循環に陥ってしまいます。まずは、自分の元々の可動域を取り戻したり、維持するためにはストレッチを取り入れてみましょう。
他にもマッサージなどしたり、物理療法を行う事もありますが、自分で出来る効果的な方法はやはり上記二点です。反復動作が多い生活習慣がある方は、ストレッチと軽い筋トレも習慣に取り入れることで緩和や予防に役立ちます。
<著者プロフィール>
今田悠太
ロサンゼルスを中心に活動する、パフォーマンスコーチ。
卒業大学:カリフォルニア州立大学ロングビーチ校
専攻:キネシオロジー
経歴:
09-現在 アメリカ独立プロバスケットボールリーグ:ヘッドストレングスコーチ
07-14アメリカのスポーツ研修関係のツアーの通訳
09-現在パーソナル・パフォーマンスコーチ
<理念>
一般の男性、女性のフィットネスの指導から、人種問わず世界で活躍する プロアスリートまで幅広く指導。日米の長所を組み合わせた、身体の軸を意識した独自のトレーニングメソッドで、今までになかったトレーニング理論を作り上げ、リハビリからパフォーマンストレーニング(競技力向上)を行う。 世界には眠っている才能が多くあると感じ、少しでも個人の才能が表に出るきっかけになればいいという思いから“RISE”というグループを立ち上げる。 人と人の繋がりの中で才能が開花していくのを助け合いたいと願い、日々奮闘中。
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