脊柱起立筋と多裂筋の働きと体幹トレーニングで鍛える方法
上半身の姿勢保持に大切な脊柱起立筋と多裂筋の働きと周辺の筋肉を鍛える方法についてご紹介します。
脊柱起立筋は体の浅い場所(皮膚に近い位置)にあり、多裂筋は脊柱(背骨)に沿うようにあり、腰痛がちな方や背中などにコリを感じる方はこの周辺の筋肉に緊張が生じている傾向があります。
腰や背中などの痛みの根本解決や姿勢改善に役立つ脊柱起立筋や多裂筋を鍛えるトレーニング方法をご紹介します。
次回以降にこれらの筋肉をほぐすためのストレッチ方法もご紹介します。
痛みや違和感を感じる方は焦ってトレーニングを先に行うのではなく、ストレッチなどで筋肉の緊張を解すことから始めて様子を見ながら改善のためのトレーニングを行いましょう。
脊柱起立筋の働き
脊柱起立筋は図のように腰の辺りから背中側・首へと広く走る複数の筋肉を指し、体幹部の安定や体を引き起こす際に使われる筋肉です。
脊柱起立筋は実は立っている時はあまり使われておらず(使われているが使われているレベルが低い)、頭を支える小さな筋肉や肩や手がバランスを取ることで脊柱起立筋はあまり働かないようです。
結局ただ立っている時はあまり脊柱起立筋は使われていません。立っているときは脊柱起立筋以外の筋肉が上体のバランスを取り、姿勢を保っているわけです。では、どのような時に脊柱起立筋が使われるのでしょうか?
- 立った状態から後ろに身体を反ろうとした時(伸展)
- 身体を横に曲げる時(側屈)も脊柱起立筋が働く
- 咳やくしゃみをした時に使われます
この時に脊柱起立筋が使われ、その反りを止めるために腹直筋が縮むことで上体の反りを制御します。例えば、立った状態で空を見上げた時というのは顎が上がり、脊柱が後ろに反ります。空を見上げた瞬間に脊柱起立筋が働き、脊柱を伸展させてその直後に腹直筋が伸展を止めます。腹直筋が働かなかったら脊柱が反り返ってしまう事になります。
もし、右に身体を側屈するのであれば左側の脊柱起立筋が働きますし、反対に左に側屈するのであれば右側の脊柱起立筋が働きます。身体を倒す方向と逆の脊柱起立筋が働くわけです。自分でも試してみて下さい。身体を右に倒す時に左側の背中を触ると固くなっていませんか?
これは身体のポジションがどのような形になっていても関係はなく、咳やくしゃみをすると全身に力が入るからだと思われます。
日常生活で脊柱起立筋が使われるのは、お辞儀をしたときが一番わかりやすいかもしれません。背筋をピンと伸ばし、上体を前へ傾ける動作は脊柱起立筋が使われるいい例です。バスケットボールのディフェンスの体勢は脊柱起立筋を使いますね。テニスの構え、サーブをするためにボールを頭上へ投げてそれを打つために身体をそらす時。椅子に座っていて床に落ちたボールペンを拾う時なんかもそうです。
このように、脊柱起立筋は様々な動作に関わります。
日常生活でも使うことの多い筋肉ですがこの筋肉が弱ることで姿勢が前傾になるなど体の歪みの一つの原因となります。比較的筋肉痛になりにくい筋肉ですので、過度なトレーニングには注意が必要です。
一つの例としては激しい運動をするスポーツ選手でも腰痛を抱えている事があります。単純にアウター側の脊柱起立筋などを鍛える事が大切とは言えません。
多裂筋の働き
脊柱起立筋よりも深層部にあり、背骨と背骨の間を縫うように存在しています。
背骨と背骨を安定させる働きと背中を伸ばす・ひねる際に使われます。
この曲げる・伸ばすと言った動きの際に、インナーマッスル側の筋肉(ここでは多裂筋)に柔軟性があることで、アウター側の脊柱起立筋などへの負担がかからないように動作します。
こちらの筋肉も姿勢の安定に関わり、腰痛の方はこの筋肉への緊張が生じている事が多い場所です。
この筋肉の筋力は低下しやすく、周辺の筋肉(脊柱起立筋など)に負担をかけやすい箇所のため、腰痛とも深い関わりがあり、痛みから更に悪化させてしまう傾向があります。
重度でない腰の痛みを感じる方はウォーキング時に半歩ほど大股で歩くことでこの筋肉をほぐす効果も期待できます。
脊柱起立筋と多裂筋を鍛えるトレーニング方法
ここからは脊柱起立筋と多裂筋を鍛えるトレーニング方法をご紹介していきたいと思います。
アウター側の脊柱起立筋も多裂筋も働きを理解した上で、トレーニングすることが重要です。
脊柱起立筋と大臀筋を鍛えるバックエクステンション
脊柱起立筋とお尻の筋肉(大臀筋)を効果的に刺激するトレーニング方法、バックエクステンションのご紹介です。
上図のようにうつ伏せで両手足を開いた状態で両手両足を持ち上げます。
2-3秒ほどキープをしましょう。
2-3秒ほどキープを10回で1セットとして2~3セットを目標に行いましょう。
バックエクステンションのやり方と効果:上体そらしで背中とヒップの引き締め!
アームレッグレイズ
体幹トレーニングで代表的な姿勢の一つですので見たことのある方も多いのではないでしょうか。
四つん這いの状態から図のように対角線上の両手足を体と平行に持ち上げます。
10秒から20秒ほどキープします。
最初のうちは1セット、慣れてきましたら3セットほどを目標に行いましょう。
脊柱起立筋の他、腹筋・大殿筋なども同時に鍛えることが出来ます。
初心者の方や女性の方でも比較的行い易い内容で、腰痛の予防のための筋トレとしても活躍するトレーニング方法の一つです。
筋トレで腰痛を緩和するためのエクササイズメニューとして、フィットネストレーナーさんに提供いただいた過去記事がありますので、腰回りの痛みやデスクワークが長時間に渡る方などは是非参考にしてみてください。
筋トレで腰痛を改善する方法〜インナーマッスルの強化がカギ!
体の背面全体を鍛えることが出来る体幹トレーニング
脊柱起立筋・多裂筋の他、肩の筋肉(僧帽筋・広背筋)、おしりの筋肉(大臀筋)、太もも裏(ハムストリングス)などの筋肉を総合的に刺激できる体幹トレーニングです。
難易度は若干高めのトレーニング方法ですので先にご紹介した2つのトレーニング方法を実践してみて余裕を感じるようになってから実践しましょう。
上図のように腕立て伏せのスタンバイ状態のように両手を広げた状態になります。
足は肩幅より開きます。
スタンバイの状態から対角線上の腕と足を持ち上げます。
(右手を上げる場合は、左足を持ち上げます。)
図のようなポーズでまずは5秒間ほどキープします。
日頃からトレーニングを行なっている方は10秒を1セット、2~3セットを目標に行いましょう。
背筋が曲がらないようにしましょう。
特に腰が落ちないように注意しましょう。
両手両足は体と平行を保ちましょう。
オーバーヘッドスクワット
オーバーヘッドスクワットはとても脊柱起立筋や多裂筋を鍛えるのに適したトレーニングです。もしジムに行っている方でバーにアクセスがある方がいればオススメします。
※通常のフルスクワットを身に着けているのがまず前提になります。スクワットを行う事自体が初めての方はまずは先に正しいスクワットのやり方を身に着けましょう!
1)まずはバー頭上に持ち上げるところからスタートです。腕の幅は肩幅より広く、まずは一番力が入れやすい幅から試してみましょう
2)バーを頭上に上げたまま、骨盤を前傾も後傾もしていないニュートラルのポジションへと保ちましょう。骨盤のポジションについてはこちらの記事よりご覧下さい。
3)バーを常に頭上に保つようにしたまま、徐々に腰を落としてスクワットをしていきます。バーが前後にブレない事が重要です。
4)深くしゃがみこんだら立ち上がりましょう。
ケーブル・アンタイ・ローテーション
アンタイとは“抗”や“反対”という意味があります。ローテーションしないようにするという意味です。ケーブルを使って体幹が捻れないように止めるようにすることで、脊柱起立筋や多裂筋を鍛えることが出来ます。
1)足を肩幅より少し広めに開いて軽く膝を曲げます
2)ケーブルのハンドルを両腕で胸元に持ち、何歩かケーブルの本体から離れます
3)胸元から腕を伸ばし、ケーブルに引っ張られて体幹が捻れないように腹筋や背筋に力をしっかりと入れます
プッシュアウト
1)背筋を張ってダンベルやケトルベルのようなものを両腕で胸元に持ちます
2)軽く胸を張り、腕を前方へ出しましょう
3)ダンベルの重さに負けないよう、背筋を使って背筋を張りましょう
4)そこからさらにスクワットをしていきます。それでも重りに負けないように背筋を張ります。可能であれば深くしゃがみ込みましょう。その際、骨盤が前傾・後傾しないように気をつけます。
デッドリフトで脊柱起立筋を鍛える
本記事内のエクササイズでも物足りなくなってしまった方にはデッドリフトで脊柱起立筋を鍛えてみるのは如何でしょう?ウェイトトレーニング経験者の方はご存知だと思いますがデッドリフトはかなり全身を鍛えるのに有効な上に背筋(脊柱起立筋を含む)にはかなり負荷がかかります。初心者の方はまずバーのみ等の軽い負荷でデッドリフトのフォームを習得したり、少しずつ重りを足していきましょう。間違ったやり方で負荷を増やしていくとかなり腰や背中に悪い種目ですので、必ずフォームが完成してから負荷を増やしてください。
デッドリフトが脊柱起立筋を鍛えるのに有効な理由
脊柱起立筋は背骨を固定してズレないようにしてくれる働きをします。特に脊柱の屈曲・伸展(前後に背骨が曲がること)を固定してくれるのです。デッドリフトの体勢をみてください。もし、脊柱起立筋が働かなかったらバーベルのせいで背骨が丸まってしまいますよね。しかし、脊柱起立筋でバーベルの重みに抵抗することで脊柱がまっすぐに保たれます。その時に脊柱起立筋が鍛えられるのです。
正しくデッドリフトをして脊柱起立筋を鍛える方法
デッドリフトには大きく分けて二種類のデッドリフトがあります。一つは比較的背筋を起こしたままで行う通常のデッドリフト。
そしてもう一つは上体をより前へ倒すストレートレッグデッドリフトです。実はこちらの方が脊柱起立筋に負荷をかけやすいのです。
ストレートレッグデッドリフト
通常のデッドリフトよりもさらに背筋(脊柱起立筋を含む)を使うのがストレートレッグデッドリフトです。身体を前傾に倒す角度が通常のデッドリフトよりも深く、可能であれば上体が地面と平行になるまで倒すため。背筋がかなり働きます。
- 足は肩幅に開いてバーベルを肩幅に持ちます。バーベルがない場合はダンベルでも代用できます
- 膝はロックせず、ほんの少しだけ曲げておきましょう。デッドリフトの動作中は常にその角度を保つようにします
- 肩甲骨は軽く寄せて肩を下ろします。デッドリフトの動作中は常にその状態を維持いましょう
- 股関節から身体を折り曲げ、バーベルやダンベルを身体に軽く触れたまま状態を倒していきます
- ハムストリングスの柔軟性が許す限りバーベルを地面へと降ろし、上体が地面と平行になったら上体を起き上がらせて立ちます
- 再度いいますが終始膝の角度は変わらないように注意してください
以上です。
脊柱起立筋のトレーニング方法とや体の痛みなどとも関わりの深い多裂筋のご紹介でした。
脊柱起立筋以外の全身の体幹トレーニングの方法をまとめた記事をご用意しました!
トレーニングは様々な箇所を行なったほうが効果的です。
是非参考にしてみてください。
体幹トレーニングの方法や効果をどこよりも詳しく解説!
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