運動連鎖(キネティックチェーン)を意識したトレーニング方法
筋トレをより深く知り、健康目的やダイエット・競技のパフォーマンス向上に役立てるために大切な「キネティックチェーン(運動連鎖)」についてパフォーマンスコーチとして活躍する今田さんに詳しく解説していただきます。
皆さん、こんにちは!
今回は少しいつもより専門的な内容となってしまうかもしれませんがついてきてくださいね!
キネティック・チェーンを理解する
さて、今ではファンクショナル・トレーニングという言葉が流行ってきています。
直訳すると機能的なトレーニングという意味ですが、運動連鎖を意識した動きやトレーニングこそがファンクショナル・トレーニングの大きな一部だと私は考えています。
NSCAというトレーニング団体によると、キネティックチェーンとは “2つまたはそれ以上の隣接する関節が共同して、または関わって働き、動作を起こす” と定義されています。うまく関節と関節が連動することで動作が生まれるわけですね。
反対に単関節運動とはレッグ・カールやバイセップスカール、ニーエクステンション等のように一つの関節のみを使って行う運動です。
しかし、現実世界では身体は様々な関節が連動して動いています。日常動作やスポーツの現場で一つの関節だけが単一で動いているということはほぼありません。ので、
現実世界に則したトレーニングとして、なるべく多関節の運動連鎖を意識したトレーニングを取り入れる必要があります。
オープンキネティックチェーン vs. クローズドキネティックチェーン
キネティックチェーン(運動連鎖)を意識したトレーニングは、オープンキネティックチェーン(OKC)とクローズドキネティックチェーン(CKC)があり、目的によって使い分ける必要があります。
オープンキネティックチェーン(OKC)とは
末端の関節(遠位部)を自由に動かす運動連鎖を指します。
例えば、マシーンでのニーエクステンションのように、膝を伸展させる時に足が自由に動きますよね。
関節を一つしか動かさない単関節運動が多いです。
自重を扱えない筋力が弱い方や、リハビリの途中の方、そして純粋にその一つの部位を徹底的に鍛えたい人向いています。
クローズドキネティックチェーン(CKC)とは
末端の関節(遠位部)を固定した状態で行う動作を指します。
膝の伸展でいうと、地面に足を固定した状態で膝を伸展するスクワットなどの動作です。
一つ以上の関節を使って動く多関節運動が多いです。
スポーツや身体能力/機能を高めたいと思う人はこちらがオススメです。
同時に多くの関節を導入するのでタイミング、リズム等も関わってきます。
私が思うに、OKCは自分の身体から外部のものに力を伝えるのに適しているのに対し、CKCは自分の身体をコントロールするのに適している動作と言えます。もちろん、パフォーマンス上ではCKCの動作がうまく出来ないとOKCの動作へもなかなか力を伝達出来ないのも事実です。
例えば、野球の投球動作をする際に、CKC(軸足が地面に固定されている)状態でしっかりと下半身のパワーを上半身に伝えた後、OKCである腕の振りを最後に加える事によってボールを投げることが出来ます。OKC → CKC の伝達もパフォーマンスには重要なキーとなります。
いつもの筋トレにキネティックチェーンを意識付けしてみる
足のCKCトレーニングといえばスクワットが最も身近ですね。これは足元(末端)が地面に固定されているため、膝の伸展を行うためには他の様々な関節を伸展/屈曲させなければ(多関節運動)成り立ちません。
<CKCエクササイズの例>
シングルレッグスクワット
ジャンプ
腕立て伏せ
逆立ち腕立て伏せ
デッドリフト
OKCエクササイズの例
バイセップスカール
トライセップス・エクステンション
レッグ・カール
シーテッド・レッグ・エクステンション
これらのエクササイズをする際にどこを鍛えていて、どの部分が固定されているかをしっかりと考えながら行ってみましょう。自分の目的に対してOKCとCKCのどちらが合っているかを見極めてやることが大切です。とても専門的なのでパーソナルトレーナーさんに相談するのもいいかもしれません。
質問、疑問等があればいつでもコメント、Email(rise8life@gmail.com)、facebookページへのメッセージをお待ちしています!
<著者プロフィール>
今田悠太
ロサンゼルスを中心に活動する、パフォーマンスコーチ。
卒業大学:カリフォルニア州立大学ロングビーチ校
専攻:キネシオロジー
経歴:
09-現在 アメリカ独立プロバスケットボールリーグ:ヘッドストレングスコーチ
07-14アメリカのスポーツ研修関係のツアーの通訳
09-現在パーソナル・パフォーマンスコーチ
<理念>
一般の男性、女性のフィットネスの指導から、人種問わず世界で活躍する プロアスリートまで幅広く指導。日米の長所を組み合わせた、身体の軸を意識した独自のトレーニングメソッドで、今までになかったトレーニング理論を作り上げ、リハビリからパフォーマンストレーニング(競技力向上)を行う。 世界には眠っている才能が多くあると感じ、少しでも個人の才能が表に出るきっかけになればいいという思いから“RISE”というグループを立ち上げる。 人と人の繋がりの中で才能が開花していくのを助け合いたいと願い、日々奮闘中。
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