1日の水分摂取量の目安:水とダイエットの関係・低ナトリウム血症など

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2018年6月1日

身近ではあるものの気が付くとのどが渇き、軽い頭痛やめまいなどを経験したことは誰にでもあると思います。

ひと昔前の部活などでは「バテるから水は飲むな!」というとんでもな説がまかり通っていましたが、スポーツ時や前後はもちろん、暑い今のような時期では特に熱中症予防として、普通にしている時でもこまめな水分補給はとても大切です。

水分不足は熱中症以外にも脳梗塞や心筋梗塞などのリスクを高めるため、運動前後はもちろん、入浴前などにも気をつけたいところです。

今回は水分摂取をすべきタイミングや1日の水分摂取量の目安、運動時の水分摂取の注意点、水とダイエットの関係などをご紹介します。

水とダイエットの関係

ダイエットをするなら水分はしっかり摂りましょう!とよく聞きます。

実際にはどの程度飲めば、どの程度の効果が期待できるのでしょうか?

「食前30分前に500mlの水を飲んだ場合」と「飲まなかった場合」を比較すると、水を飲んだ場合に約13%のエネルギー摂取量の減少が確認できたという論文があります。

参考:water consumption reduce energy intake at a breakfast meal in obese older adults

その他の研究では21~35歳の若いグループと60~80歳の年配を対象に比較した所、年配のグループでは食前の水分摂取でエネルギー摂取量が抑えられたが、若いグループでは優位な差は見られなかったとする論文もあります。
参考:Pre-meal Water Consumption Reduces Meal Energy Intake in Older but Not Younger Subjects

その他にも水分摂取による前向きな研究結果は確認でき、否定的な内容は少ないですが、エネルギー摂取量が実際の肥満予防や体重減少とどこまで関連があるかは分からないので、食前にお水をコップ1~2杯程度飲めばダイエット効果が期待できる、かもしれない程度に考えたほうがいいかもしれません。
(個人的な感想では、食前に500mlやコップ2杯程度の水を飲むのはちょっと辛いですし、胃液が薄まって、消化不良になりそうとも感じます…。)

水分摂取をすべきタイミングと量

朝起きた時
運動中と前後
入浴前後
アルコール摂取時
寝る前

ポイントは喉の渇きを感じる前にこまめに摂取することです。
喉の渇きを自覚した時には既に体は水分不足の黄色信号を出しています。

また、1日に2.5Lほどの水分を失っています。

水分摂取量と排泄
図引用:水分の摂取と排泄(www.wbgt.env.go.jp/pdf/3-1.pdf)

1日に摂るべき水分量は諸説あるのですが、厚生労働省・環境省など複数の資料で1.2Lは飲料から摂取すべきとの目安が確認できます。

記事後半では熱中症と水分摂取についても解説しているのですが、最近公表された「熱中症に関する意識実態調査」(全国600名を対象とした調査)では1.2L以上摂取することを意識している人は2割以下でした。
熱中症対策として、1日どのくらいの水分を摂取していますか?(n=600)
0~200ml程度:3%
201~500ml程度:21%
501~1000ml程度:42%
1001~1200ml程度:15%
1201ml以上:19%
参考:熱中症に関する意識実態調査

熱中症対策として水分摂取が大切と認識しているにもかかわらず、水分量に対してはあまり意識が行っていないようですので、多めに水分を摂ることを意識することが大切です。

<お酒を飲んだ時の注意点>
お酒を飲むと水分でタプタプなんてことにもなりがち…。

十分に水分を摂っているつもりでも注意が必要です。

ビールの摂取量と尿量
図引用:千葉水道局
ビールを例にすると1.1倍排出されます。
(利尿作用により、1L飲むと1.1Lが尿として排出されます。)

二日酔いで起きた朝に喉がカラカラという経験をしたことがある方も多いと思います。

飲酒時は水と交互に飲むようによく言われますが、水分を摂っているつもりが実際には排出量の方が多く、水分不足となっていることがありえます。

部活中の水分摂取はNG?

私は30代前半なのですが、部活中や体育中の水分摂取を許さない顧問や教師も一部いましたが、基本的には水分を摂るように言われてきました。

同年代の友人などに聞いても顧問次第といった回答が多いように感じました。

この水分をなるべく取らない、摂らせない教育や考え方はどこから来たのでしょう?

「運動中に水を飲むな」というまちがった常識は,明治,大正,昭和の軍事の場面からスポーツの場面に,継承拡大して長く伝えられてきたものと推察される.

引用・参考:健康を支える水

同資料によれば、1980年代でも水分を摂らせない指導により、熱射病が原因の死亡事故が起こっているとのことなので、現在30歳前後の方は運動時に水を飲めない教育や指導を受けた方もいるのではないでしょうか。

現在では文部科学省、環境省などでも熱中症などの予防の一環として水分補給の大切さを指導する資料などを用意しているため、水を飲ませない教師は減っていると思いたいです…。

熱中症による死亡事故のみのデータですが、7~8月に集中しており、サッカーや野球など屋外のスポーツでも事故が多いと言えます。

教育現場は変化しているかもしれませんが、残念ながら熱中症に関する事故件数は減っていません。
(猛暑日や真夏日の増加も関係しているようです)

本記事の本題から外れますが、熱中症予防には30度を超える気温の場合は、そもそも外での日中の運動は避けるべきと言えます。

熱中症と暑さ
図引用:環境省(www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual/3-3.pdf)

運動時の水分摂取の注意点

運動時は汗から水分の他、ナトリウムなどのミネラルも体から失われます。
ミネラルが不足することで疲労の回復も遅くなるとされていますので、ミネラル分含んだスポーツドリンク等を摂ることが望ましいです。

運動時の水分摂取は失われた水分量の70~80%程度が目安となります。

以下の参考を元にしますと、
運動前に250ml~500ml、1時間の運動ごとに500ml~1000ml(塩分濃度0.1~0.2%)を2~4回に分けて(1回200ml前後)摂る事が望ましいとされています。
(1時間以上の運動をする場合は塩分濃度0.1~0.2%に4~8%程度の糖分を含んだ物が肥料の予防に役立つ。)

参考:公益財団法人 日本体育協会 失われる水と塩分を取り戻そう(www.japan-sports.or.jp/medicine/tabid/919/Default.aspx)

塩分濃度0.1~0.2%を100ml換算すると40~80mgのナトリウム量に相当します。
(食塩相当量1g=ナトリウム量約400mg)
(100ml×0.1%=0.1gの食塩相当=ナトリウム量約40mg)

大塚製薬 ポカリスエット 500ml×24本 

お茶や水は排出されやすいため、運動時はナトリウムなどの電解質を含んだ飲料を飲むことが望ましいですが、糖分を多く摂ってしまうことになるため、1L以上摂取の場合は2倍に薄めたスポーツドリンクに塩を1~2gほど足した物の方が望ましいです。

<水分の摂り過ぎにも注意!低ナトリウム血症(低Na血症)>
水分の摂り方・大切さについてご紹介しましたが、過剰摂取もリスクがあります。

特にマラソンなどの長時間に渡るスポーツ時や肥満時、経験が浅い場合に汗で失われた以上の水分摂取を行なうことで、体内の水分が過剰になり、昏睡など深刻な状態となる場合があります。

水だけでなく、スポーツドリンクの摂り過ぎでも起こります。

運動関連低Na血症は「EAH」とも呼ばれ、運動時や運動後24時間以内に起こる低Na血症を指す。原因は、失われた水分を取り戻そうと水分を取り過ぎること(水中毒)。マラソン、ハーフマラソン、トライアスロン、ハイキング、ラグビー、アメリカンフットボール、ホットヨガなどで報告されており、マラソンやハイキング、アメフトなどでは死亡の報告もあるようだ。

参考・引用:yomiDr. マラソン中に死亡も、低Na血症の防ぎ方…スポーツ飲料でも注意(www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=121159)

該当するスポーツを本格的に行っている方や競技選手の方など、健康的なアスリートの場合は、喉が渇いた時にのみ水分摂取を行う方がEAHのリスクを低減できるという勧告もあります。

EAHによる死亡は予防可能であるだけに非常に悲劇的なものであって、単純に自分の身体の声を聞くという手段を講じていけば防げるものであるのだ。脱水症状が原因となって死亡したアスリートはいなくても、EAHで死亡したアスリートは存在する。これまでの俗説や慣例に縛られることなく、根拠を持ったアドヴァイスを少しずつでも進めることが重要であると研究者は指摘している

参考・引用:アスリートはのどが渇いたときだけ給水すべきであるという新ガイドライン(www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=49951&-lay=lay&-Find)

体の状態や環境に合わせつつ、状況に応じて過度な水分摂取にも気をつける必要があると言えます。