筋膜リリースの方法〜フォームローラーやテニスボールの活用法

2018年5月11日

皆さんは指圧やマッサージに行った時、時にもの凄く痛いポイントってありませんか??

いわゆる“ツボ”と呼ばれるポイントですが、もしかしたらそこは筋膜が癒着している箇所かもしれません。
でも筋膜ってなんでしょう?そんな痛いポイントを教えていいの?

そんな疑問に答えるために、今回は筋膜リリースの効果について解明して行きたいと思います!

筋膜とは何か?

筋膜 (Myofascia)というのは筋繊維を束ねている袋みたいな膜です。 この膜はコラーゲンとエラスチンという繊維で構成されています。エラスチンは弾力性があり、コラーゲンはエラスチン程弾力性がないのが特徴です。

この膜がないと筋繊維の集まりである私達の筋肉たちはまとまらずに乱れてしまいます。グレープフルーツやみかんを思い出して見て下さい。皮を剥くと膜が果実の中身を覆っています。あのようなイメージです。または全身タイツを着ている状態を想像するといいかもしれません。

この筋膜ですが、日頃からちゃんと動いていたりする箇所はちゃんと伸び縮みするのですが、動いていない箇所はどんどん縮んで固まっていく傾向にあります。これが癒着だったりしますし、痛みが起こる箇所になります。

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全身タイツを来た状態から、一箇所を引っ張ったままにしてよれた状態のまま固まってしまったと想像して下さい。他の部分が動きにくかったりして、身体が歪んでしまいますよね。筋膜が癒着したり固まってしまうと関節や筋肉の適切な機能が制限されてしまい、他の部位に負担をかけます。
そんな状態を解決するのが筋膜リリースです。

筋膜リリースとその効果

筋膜リリースはそういった癒着したり固まってしまった筋膜を物理的に引剥がして弾力性を取り戻す作業だと思われてきました。そのためにフォームローラー、テニスボール、ゴルフボールなどを使って刺激を与えて筋膜を“リリース”させることが、ほとんどの人が提唱している筋膜リリースです。
このよれて固まってしまった筋膜をリリースすることで身体の自由が再度生まれて歪みを直しやすくすると考えられています。

筋膜リリースを行う事でよれた膜を正常な位置と弾力性に戻すので、姿勢がよくなります。また、突っ張っていた膜がリリースさせることで関節の可動域が増えたり、身体が軽くなるのを感じる人もいます。

一概に凝りを感じる場所が筋膜が固まっている場所とは限らず、例えば首が凝ってダルいのは太ももの筋膜が固まっているからという可能性もあるくらい、筋膜というのは離れた場所に影響します。どこが直接的な原因か特定するのはプロでも難しいものがあります。しかし、筋膜リリースを日々行うことで自分の身体のメンテナンスになり、怪我の予防や疲労回復にも繋がりますので、オススメです。

しかし、フォームローラーやテニスボールで“筋膜”は本当にリリースされているのか?という疑問が近年のメディカル系で浮き上がってきました。なぜなら、筋膜を変形させるのにはとてつもない物理的な力が必要な事がわかったからです。ということは実際に筋膜はほぐしたりできないようです。
癒着してしまった筋膜をリリースすることは非常に非現実的なのではないか?ということです。でも従来の筋膜リリースと呼ばれるフォームローラーやテニスボールでプレッシャーをかけたりして楽になったり、関節の動きが改善されたのはなんだったのでしょうか?
筋膜リリースによく使われるテニスボール
実はこれは筋膜の周りの軟組織にアプローチしていたり、筋肉の緊張具合を調整していたのではないか?という事が想像出来ます。ようするに、筋膜はほぐせないが、筋膜の周りの組織をマッサージすることで緩めていたということです。

結局は何を“筋膜”と呼んでいたかという違いで、ほぐすという概念はあまり変わりません。結局は筋膜をリリースしていただけではなく、その周りの組織や筋肉を緩めたり動きを良くしていたという結論になります。
マッサージも筋膜リリースになる?
私達の身体はネットのような膜で覆われていて、その周りには数々の組織があります。この筋膜やその周りの組織が日頃の偏った姿勢や動きのせいでよれて固まってしまい、癒着や拘縮という形で私達の正しい姿勢や動作を奪います。これは誰にでも起こる当たりまえのことですが、しっかりとケアをする必要があります。筋膜リリースを行う具体的な方法は以下をご参照ください!

筋膜リリースの実践編

さて、これで筋膜リリースとは本当はどういうものなのかがお分かりいただけたと思います。実は筋膜リリースは周りの組織にアプローチしていて、筋膜自体は強固すぎてリリース出来ないという近年の見解。だからといってフォームローラーやテニスボールが効かないわけではありません。筋膜リリース(正確には筋膜の周辺のリリース?)の方法を覚える事で、そんなよれて癒着してしまった組織達をほぐして身体をリセットしましょう!

※この記事では引き続き、『筋膜リリース』というワードを使ってご説明していきますが、筋膜リリースとは実は周りの軟組織や癒着してしまった結合組織を剥がしたり、筋肉を緩めることで身体を調整する方法として解説していきますので、正確には“筋膜”をリリースしているわけではありません。

筋膜とは私達の筋肉を束ねてコーティングしている全身のボディスーツみたいなもの。そんなスーツのような膜が日頃の偏った動作で癒着したりしてよれてしまうと身体が歪んでしまう原因になり、パフォーマンス低、姿勢の悪化、怪我の原因になってしまいます。

今回は筋膜リリースの方法を覚える事で、そんなよれて癒着してしまった筋膜をほぐして身体をリセットしましょう!

筋膜リリース用意する物と具体的な手順

筋膜リリースを行うと非常に痛い部分がみつかると思います。その痛みが生じるポイントはトリガーポイントかもしれません。それらのポイントに圧をかけてリリースするとこで本来の機能を取り戻し、正しい動作を取り戻すことが出来ます。ストレッチだけでは筋肉の拘縮を和らげることが出来ないこともあり、筋膜リリースを行うのです。

筋膜リリースを行うためには

  1. フォームローラー
  2. テニスボール
  3. ゴルフボール
  4. マッサージスティック

等があると非常に便利です。
今回はフォームローラーと、テニスボールで行う筋膜リリースをご紹介致します。

①足裏 :テニスボールで筋膜リリース

足底筋膜炎等の予防に効果的です。
テニスボールで足底筋膜炎を予防する筋膜リリース
1)テニスボールを足の裏に踏みつけます。
2)つま先⇔踵の間を体重をかけながらコロコロと転がしましょう。ゆっくりとじっくり負荷をかけて転がします。

足底筋膜炎に関する記事は以下もご覧ください。
足底筋膜炎(足裏の痛み)の原因と緩和のためのストレッチ

②すねの前:フォームローラーを活用

フォームローラーを使います。シンスプリントの予防、改善に効果的です。
シンスプリントを予防するフォームローラーを使った筋膜リリース
1)フォームローラーに正座をするようにして、乗っかります。
2)足首が真っ直ぐになるように伸ばしたら
3)前後にローラーを転がし、前脛骨筋に沿って体重で圧をかけながらほぐしていきます

シンスプリントを予防・緩和するストレッチに関しては以下でも詳しく解説しています。
シンスプリントを予防・緩和するストレッチ

③太もも:フォームローラーを使った筋膜リリース

太ももの筋膜はがし
1)腕立て伏せをするような体勢で、太ももの下にフォームローラーを置きます
2)手押し車のように身体を前後に動かし、太ももの痛い部位をじっくりと圧をかけてほぐしましょう。

ITバンド(腸脛靭帯)や 大腿筋膜張筋の筋膜リリース
3)さらに、体勢を横に変えてITバンド(腸脛靭帯)や 大腿筋膜張筋にアプローチしていきます。とても痛い場合が多いので腕でかける圧をコントロールしながら行うことが重要です。

内転筋の筋膜リリース
4)そのまま太ももの内側へローラーが当たるように身体を回転させ、内転筋群をじっくりとほぐしていきます

腰の外側の筋膜マッサージ

お尻の筋膜マッサージ

背中の筋膜マッサージ

痛い!ここってトリガーポイント?

痛みや筋膜リリースと関わりのあるトリガーポイントという単語を聞いたことはありませんか?

肩こりや腰痛は身体の悩みのうち、多くの人が上位に挙げる症状です。(厚生労働省の国民生活基礎調査より)長時間のデスクワークやスマホの普及などにより、慢性的な肩こりなど辛い痛みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

痛みを感じた時に、その部分を揉みほぐした経験は誰にでもあると思います。ただ、その痛みを感じる箇所そのものが悪い部分ではない場合もあります。

マッサージ中に「痛い!なんだその痛いところは!」っていう体験したことはありませんか?その痛いポイントはもしかしたらトリガーポイントと呼ばれるものかもしれません。こんなに痛いのにぐりぐり押すなんて大丈夫なの?
トリガーポイントについて解説していきたいと思います。

トリガーポイントとは?

筋肉を覆う筋膜という膜があり、筋繊維や体全体を覆っています。
筋膜は筋繊維を覆っている袋のような膜で、みかんなどのフルーツをイメージすると分かりやすいと思います。
この身体中を連結し合っている筋膜のバランスが崩れてしまうと短縮し、癒着を起こしてしまいます。癒着に伴い筋膜の機能障害を誘発するポイントをトリガーポイントと呼びます。ここは東洋医学のツボと類似するケースが多いようです。

筋膜のバランスが崩れ、癒着することで以下図のように身体の歪みや痛みの原因となります。
また、最近のトリガーポイントの定義はこれと少し違い、侵害受容器という組織の損傷やそれに繋がる刺激を感知するセンサーが過敏になっている状態を言います。
トリガーポイントが生じる原因は主に「動かなさすぎ」か「使いすぎ」 のどちらかに分かれます。例えばパソコン仕事などでずっと同じ姿勢を維持していると動かさなすぎになります。また、運動などで筋肉を酷使した場合は小さな損傷や炎症によって筋膜の癒着が生まれます。

トリガーポイントと痛みの連鎖〜痛いところが悪いわけではないかもしれない

トリガーポイントは筋膜の癒着が起こっている、または筋膜がよれているポイントに多く見られるとお話しました。筋膜が歪むと身体の様々な部分まで影響を及ぼします。筋膜は先程の図のような全身タイツだと想像してください。全身タイツのどこかが引っかかってよれたら他の部位まで動きづらくなりますよね。そのように、悪いところが別の部位に影響してしまう場合があります。
痛いところ=悪い とは限りません

トリガーポイントと本当に悪いところは違う可能性があるという事が少しわかって頂けたと思います。ですので、肩こりや腰の痛みがあるからといって、肩や腰にあるトリガーポイントを刺激しても症状が改善されない場合があります。最近ではエコーを使って判断する方法もあるそうです。できれば腕のいい治療院や経験豊富なマッサージ師などに行ってみてください。痛いところだけを気にする先生がいたとしたら違う先生をあたってみたほうがいいかもしれませんね。

筋膜リリース実践編のまとめ

筋膜リリースを行った次の日に痛みが残る事があるかもしれません。あまりにも続く場合は打撲になっている可能性もあるので、痛みが引くのを待ちましょう。筋膜リリースはいたいものですが、あまりにも痛みを我慢して限界に挑戦!なんてする必要はないので、程よく行って下さい。水をしっかり飲んで睡眠をしっかり取って老廃物を排出しやすくして下さい。運動前、運動後のウォーミングアップの一貫として習慣的に取り入れるといいですね。

<著者プロフィール>

今田悠太

ロサンゼルスを中心に活動する、パフォーマンスコーチ。
卒業大学:カリフォルニア州立大学ロングビーチ校
専攻:キネシオロジー
経歴:
09-現在 アメリカ独立プロバスケットボールリーグ:ヘッドストレングスコーチ
07-14アメリカのスポーツ研修関係のツアーの通訳
09-現在パーソナル・パフォーマンスコーチ
<理念>
一般の男性、女性のフィットネスの指導から、人種問わず世界で活躍する プロアスリートまで幅広く指導。日米の長所を組み合わせた、身体の軸を意識した独自のトレーニングメソッドで、今までになかったトレーニング理論を作り上げ、リハビリからパフォーマンストレーニング(競技力向上)を行う。 世界には眠っている才能が多くあると感じ、少しでも個人の才能が表に出るきっかけになればいいという思いから“RISE”というグループを立ち上げる。 人と人の繋がりの中で才能が開花していくのを助け合いたいと願い、日々奮闘中。

・Facebook

美wise担当より

今回今田トレーナーが紹介してくれたフォームローラー(ストレッチポールなど)の使い方以外にも当サイトでは様々な活用法をご紹介しています。

日頃の疲れを癒やし、コリや痛みの改善に役立つフォームローラーの使い方まとめは以下の記事をご覧ください。

ストレッチポールの効果:ダイエットから部位別の使い方

フォームローラーとストレッチポールの違い

そもそもストレッチポールとフォームローラーの大きな差は長さにあります。

ストレッチポールの方が長く、その特徴は仰向けに寝た状態で背中に敷いた状態で活用することも前提に作られた商品だからです。

ストレッチポールの開発・発売元の株式会社LPNのサイトを参考にすると、「身長の低い日本人に合わせたり」、「ポールの上に寝て使う上で素材や太さ」を研究した結果とのことです。
今回ご紹介するようなフォームローラーの活用法や筋膜マッサージなどにもストレッチポールはもちろん使えますし、寝そべって使う事を考えても用途が幅広く、おすすめできるエクササイズ商品の一つです。

似たような物や別名称(ヨガポールなど)様々な商品があります。

まずは安価に試して、効果や続けられるかを確認したい方は以下の比較記事も参考にしてみてください。
激安ストレッチポール(ヨガポール)は正規品と比べてどう?価格や材質で比較

やはり耐久性や素材の反発性を考慮するとLPNさんの商品がオススメではあります。