股関節の可動域を広げるストレッチと股関節の可動域の大切さ

股関節の柔軟性を高める

2017年3月7日

太ももの付け根である股関節は非常に自由に動く関節です。しかし、現代の車移動、デスクワークが増えてしまった現代では股関節が非常に固まりやすい環境にあると言えます。股関節の可動域が狭くなってしまうととどのような事が起こっているのでしょうか?

股関節の可動域を広げる重要性、そして関わる筋肉群、具体的な柔軟性を高めるストレッチ方法をご紹介していきます。

なぜ股関節の可動域が大切なのか?

股関節というのは骨盤の寛骨臼窩と大腿骨頭が合わさった部分の事をいいます。その周りに大腿骨頭を寛骨臼窩へ繋ぎ止めておく靭帯や筋肉が数多くあります。内転筋群、腸腰筋、梨状筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋などetc.. 
股関節周辺の筋肉(内転筋群、腸腰筋、梨状筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋)
図からもわかるように、多くの腱が股関節周りに集まっている事がわかると思います。さらに、大腿動脈という下半身へ血液を送る太い動脈、多くのリンパ節、そして太い神経が通っていることから股関節周りが固まってしまうと血管やリンパを圧迫してしまうので血流やリンパの流れが悪くなってしまいます。結果、浮腫みや冷え性、痺れなどが起こりうる可能性があります。

また、本来自由に動くべき股関節の動きが制限されてしまうと、膝痛や腰痛を引き起こす事もあります。原因は様々な筋肉が影響しあっているのでここでは言い尽せませんが、股関節の動きが悪くなると他の部位がかばってしまうと理解して頂けたらいいなと思います。

股関節の可動域を広げる効果

身体の痛みの原因になるコリや緊張
上図は身体の何処かに痛みを生じる時の一例ですが、姿勢や筋肉のコリは、血行の悪化などを引き起こす場合があります。
そこで、ストレッチなどにより、股関節周辺の血流を改善すると……

  1. 下半身の血流改善
  2. 膝や腰など、下半身の痛みの緩和

1の下半身の血流が改善することにに伴って、むくみや冷え性、しびれなどの緩和が期待できます。
2は股関節の可動域が狭いことが、膝や腰など下半身の痛みの原因となっている場合があるため、股関節の可動域が広がった効果として改善が期待できます。

例示した通り、股関節の可動域を広げるだけで膝の痛みが引くこともあります。不思議ですよね。
なぜそのような事が起こるかというと、筋肉が骨盤から股関節を通って膝に付着しており、股関節周りが固まることで膝についている腱を引っ張ってしまうことがあるためです。身体の腱や筋肉は様々な箇所で繋がっているので、痛みがある部位だけではなく、他の部位にも着目してみる必要があります。

股関節の可動域を広げるためにストレッチすべき筋肉群

上記に示したように、股関節の周りには重要な動脈、リンパ、そして数多くの筋肉が交錯していることから、適切な可動域を維持するということは非常に重要だと言えます。

股関節には22の筋肉群が接続しており、大別すると以下の筋肉群があげられます。

  • 内転筋群
  • 臀筋群(大殿筋・中殿筋・その他骨盤周辺の筋肉)
  • 腸腰筋
  • 大腿部の筋肉(大腿四頭筋・ハムストリングス)

これらの筋肉群の柔軟性を高め、股関節の可動域を広げるためのストレッチ方法をご紹介したいと思います。

股関節の可動域を広げるストレッチ実践編

前置きが長くなってしまいましたが、本記事では1.内転筋群、2.お尻周辺の筋肉(臀筋群)、3.腸腰筋および大腿部の筋肉群のストレッチの順にご紹介します。
股関節のストレッチが重要なことは間違いありませんが、何かが劇的に変わる万能の方法という訳ではありません。
日々の積み重ねでより動ける身体に、そして怪我やコリ、痛みなどを予防したり改善に役立つ方法ですので、じっくりと日々の生活に取り入れてみてください。

※ストレッチ中や終了後に強い痛みや辛さを感じた際は、無理をして続けないようにしましょう。

内転筋群のストレッチ方法1

ひとつ目のストレッチとして、内転筋群をほぐす方法をご紹介します。内転筋は聞き慣れない方もいるかと思いますが、いわゆる内もも(太ももと太ももの間)の筋肉です。
ももの内側の骨から骨盤の下部に接続しており、O脚などの骨盤の歪みとも関わりがあります。
股関節:内転筋群のストレッチ
①地面に座って足を広げます
②骨盤を立てて、腰椎が曲がらないように背筋を伸ばしたら、前方向へ上体を倒します。膝は曲がらないように維持して下さい。
③10~30秒程×3セットを目安に行って下さい

内転筋群のストレッチ方法2

以下のストレッチ方法は、皆さんも見たことがあるのではないでしょうか? はい、お相撲さんの四股を踏む時に似ています。股関節の可動域を広げるためにはとてもいいストレッチです。お相撲さんは毎日これをしているので、股関節の可動域が広いのもうなずけますね!
出来るだけ背筋を起こしたままつま先と膝を外側へ向けます。この時に膝とつま先の向きが揃うように意識しましょう。
お相撲さんの四股踏みのような股関節のストレッチ方法
徐々にお尻を落としていきます。両手を膝についてお相撲さんの四股を踏むように身体を沈めていきましょう。

※その際に肘で両膝を押し出すようにして股関節をより大きく開くようにストレッチしていくとより股関節を開くことが出来ますので、一度身体が沈んだあとに試してみてください。

臀筋群のストレッチ方法1

次にお尻の筋肉(大殿筋や中殿筋)を中心としたストレッチを行っていきましょう。
股関節:臀筋群のストレッチ
①仰向けに寝ます
②足を写真のように組み、膝と足首を手前に引き付けます。自分にとって一番臀部に伸びを感じるように角度を変えつつやってみましょう

臀筋群のストレッチ2

更にお尻周辺のストレッチを実践していきましょう。以下のストレッチはお尻や股関節周辺の筋肉の柔軟性がある程度無いと難しいストレッチ方法です。他のストレッチをおこないつつ、注意しながら実践しましょう。
臀筋群のストレッチを行うことで股関節の可動域を広げていくためのストレッチ方法(上級編)
1.座って股関節と膝を90°に曲げて背筋を伸ばします。膝の向きがおヘソと合うようにします。
2.ゆっくりと身体を前方へ倒していき、お尻の筋肉が伸ばされるのを感じます。これ以上倒せないと思ったらそこでストップします。
3.膝を地面に押し付けるようにして身体を起こしていきます。この時に出来るだけ手を使わずに身体を起こしてみましょう。ストレッチされた部分が収縮していくのを感じます。片側5回行います。
4.足を入れ替えて反対のお尻もストレッチしましょう。

股関節のストレッチ1

腸腰筋および大腿部、太ももの付け根などを中心としたストレッチ方法です。
①片膝をついて頭から膝までを一直線に揃えます。骨盤は前傾/後傾することなく立てましょう。
腸腰筋や股関節のストレッチ1
②そのまま骨盤の中心を前方へ水平移動するようにし、股関節を伸展させてストレッチをします。この際、骨盤が前傾しがちなので注意して下さい。

腸腰筋や股関節のストレッチ2

股関節のストレッチ方法2

股関節のストレッチ方法
1.仰向けに寝て、膝を曲げます。片膝を胸に近づけるようにして両腕で抱え込みます。
2.出来るだけ胸に近づけたら、次は足を横に広げていきましょう。この時に股関節を出来るだけ曲げたまま自力で外に広げていくのがポイントになります。
3.膝を外に広げて地面に近づけたら、そのまま足を下ろしていきましょう。膝が地面に近くにあればあるほど可動域が広がっているということになります。
4.足を下ろしたら今度は逆回りも行い、反対の足も同様に行います。

股関節の可動域を広げるストレッチのまとめ

股関節には様々な筋肉が集結しており、さらに下半身へ神経や血管が通る唯一の通り道です。そのため、股関節周辺をストレッチすることは様々な筋肉をストレッチすることにも繋がります。座り仕事が多い現代では股関節の可動域が狭くなってしまっている傾向があるので、特にやっておきたいストレッチのうちの一つです!

<著者プロフィール>

今田悠太

ロサンゼルスを中心に活動する、パフォーマンスコーチ。
卒業大学:カリフォルニア州立大学ロングビーチ校
専攻:キネシオロジー
経歴:
09-現在 アメリカ独立プロバスケットボールリーグ:ヘッドストレングスコーチ
07-14アメリカのスポーツ研修関係のツアーの通訳
09-現在パーソナル・パフォーマンスコーチ
<理念>
一般の男性、女性のフィットネスの指導から、人種問わず世界で活躍する プロアスリートまで幅広く指導。日米の長所を組み合わせた、身体の軸を意識した独自のトレーニングメソッドで、今までになかったトレーニング理論を作り上げ、リハビリからパフォーマンストレーニング(競技力向上)を行う。 世界には眠っている才能が多くあると感じ、少しでも個人の才能が表に出るきっかけになればいいという思いから“RISE”というグループを立ち上げる。 人と人の繋がりの中で才能が開花していくのを助け合いたいと願い、日々奮闘中。

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